当相談室での心理療法について

 カウンセリングや心理療法の技法は非常にたくさんあります。多くのカウンセラーはそのうちのいくつかの技法を使用しています。当相談室で実施できる技法をご紹介します。

 

・箱庭療法

 箱庭療法は故河合隼雄先生が日本に紹介した、ユング心理学をベースにした方法です。当相談室では、大住誠先生(同朋大学特任教授・大住心理相談室)から指導を受けた瞑想を取り入れた箱庭療法を行います。この方法では思考や感情という日常生活で活発となっているこころの機能ではなく、感覚や直感という普段活性化していないこころの力を活かし、クライエントさんの自然治癒力を高めて自然に改善する過程をとります。遊びの要素があり子ども向けと思われるかもしれませんが、大人にも大変有効です。瞑想を取り入れることで、大人でも無心になって自分のこころと世界とのつながりを感じることができます。ただしそのような状態になるまで少なくとも数か月かかるため、じっくりとこころの悩みに取り組みたい方向けです。

 

・合気道セラピー

 田多井の心理療法の経験と、合気道の修行経験を合わせて考案された当相談室でのみ行こなう心理療法です。合気道の理念は、敵と和することによって争いをなくすことであり、これは悩みやこころの問題への対処と類似しています。特に瞑想箱庭療法やマインドフルネス、ユング心理学の考えととてもよく似ています。悩みを打ち倒すのではなく、和することで共に生きていく、結果として悩みは悩みでなくなり、人をいやし成長させるものにつながっていきます。合気道の技の型、動きはそのような理念を表すようになっており、それを心理療法用にアレンジしました。悩みと調和してより強く柔軟になっていく型をカウンセラーと一緒に行うことにより、日常生活におけるこころにも影響していくことが期待されます。悩みやこころの問題が身体に表れている方、リラックスと自信をともなう本当の意味でこころを強くしたい方、これまで対話によるカウンセリングで効果がなかった方はぜひ検討してみてください。なお、痛みはまったく伴いません。運動が苦手な方でも大丈夫です。運動神経や体力より、イメージする力が大切な心理療法です。

 合気道セラピーは田多井のオリジナルな心理療法なので、今後もクライエントさんとともに効果の検討を求めていきます。

 心因性の身体症状には効果が出ています。

 詳しくは合気道セラピー研究会のページもご覧ください。

 

・発達障害の方への支持、助言、心理教育

 発達障害の方の生きにくさ、学校や仕事への適応を応援します。発達障害の支援をしては環境調整が主になりますが、どのように環境を調整したらよいのかは個人によって異なります。クライエントさんとていねいに話し合うことで、特性や個性を探ります。また発達障害の方は周囲や自分自身について、納得のいく理解ができておらず、そのことが不適応や感情の悪化につながっていることが多くみられます。田多井は「内面の構造化」と呼んでいますが、自分自身と社会や世の中、人間関係についての理解を進めることで社会適応や感情のコントロールが上手になることがよくあります。クライエントさんを尊重し、理解できる方法を探りながらクライエントさんが自分自身や世の中を理解する感覚を大事にしていきます。いうなれば、自分や世界についての設計図や見取り図を一緒に作っていく作業です。保護者や家族のみなさまへの心理教育や助言も行います。

ただ、おおがかりなトレーニングはできないため、療育機関や教育機関も併用することをお勧めすることがあります。また診断や知能検査、特性検査は医療機関や公的機関にてお願いします。

 

・支持的精神療法

 苦しみ弱っているこころを支え応援する方法で、いわゆるカウンセリングというイメージに近いかもしれません。クライエントさんのお話をていねいに聴かせていただき、温かい人間関係を築いたうえで示唆やアドバイスを行っていきます。話を聴いてもらいたい、臨床心理学的なアドバイスが欲しいというクライエントさんにはこの方法を用います。またほかの心理療法の開始前や途中でも行うことがありすべてのカウンセリング・心理療法の基本となる方法です。

 

・精神分析的療法

 フロイトが開発した精神分析を週に1回程度で行う方法です。意識されない過去のこころの傷や認めたくない自分の一面が今の悩みに影響している場合に有効です、カウンセラーの見守りと面接でのやりとりのなかでそれらに気づいていくことで、悩みと切り離して考えられるようになります。ただし知的な理解にとどまる場合さほど効果がなく、また田多井の経験上、過去や自分の一面への洞察は個人を超えた心理とつながることが多く、ユング的な技法に移行してゆく展開となることがよくみられます。

 

・認知行動療法

 悩みやこころの問題を強化し維持しているのは、その人の思考であり、認知、つまりものの考え方をバランスよく合理的にすることで解決していくという考えに基づきます。単に知的に考えることやポジティブに考えるのではなく、行動や感情をともなって合理的な考え方になっていくことが重要です。近年は感情を呼び覚ますために過去のイメージを利用したり、マインドフルネスのように悩みを変えるのではなく受け入れそのままにしておくという方法をとっており、精神分析やユング心理学、森田療法、仏教や老荘的な考えとも近づいています。

 

・スーパーヴァイズ、教育分析、コンサルテーション

 心理や教育の専門家のみなさまに向けご提供します。心理職はその職場に一人しかいないということも多く、また面接中は自分の専門知識と技術、経験しか頼るものがありません。このプレッシャーと緊張は心理療法家共通のものですが、特に初心のカウンセラー・セラピストは強い不安にかられることもあるでしょう。また、自分のこころの悩みがあるがゆえに心理の専門家になった方もいるでしょう。そのような方は、有能な支援者になる可能性を持っていますが、自分の悩みが未解決であるがゆえに他者の援助が有効にできないということもあります。専門知識や技術の向上に加え、心理的な支えとして、自らの人格の成長のためにも、スーパーヴァイズ、教育分析をお受けになることをお勧めします。田多井もスーパーヴァイズと教育分析を合わせると10年以上受けており、その意味を十分認識しています。また、教員や福祉分野の方、企業の管理職お方の近らるテーションも承ります。人にかかわるご職業における困り感をお持ちの方に助言を行います。