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農村ムラ社会のテレワーク疲れ

 

 新型コロナウイルスの影響で、テレワークが導入されています。当相談室でも、オンラインカウンセリングを実施しています。

 そのようななか、“テレワーク疲れ”という声も聞こえ始めました。ニュースで見たのですが、テレワーク疲れとして「相手の感情がわかりにくい。」「さぼっていると疑われないか?」「正しく評価されるか?」という心配があるそうです。機微が伝わりにくいオンラインの特徴と同時に、雑談ができないことから起こっている面もあるそうです。

 

 私はこれを聞いて、ああ、農村ムラ社会だなあ、と思いました。

 以前、「学校になじめない人はハンターなのかもしれない」というブログを書いて、学校は農村ムラ社会の構造をしていると考察しました。農村では、①仕事もお祭りもいっしょにやるのでコミュニケーションや実害とは関係なくてもおきてを重視する、②うまくいくと作物は自然と育っていくので、順調な時は嫌われないようけんかにならないよう近所に目を向け気を使う、③ムラに所属し続けることが求められる、というのが農村ムラ社会の特徴と述べました。

 

 この3点が確保、保障されていないと、ムラ人は不安になるようです。おきてを守らない奴がいてムラが乱されないか?、自分が乱していないか?、空気読んで常にコミュニケーションとらないと!、おきてをやぶったりコミュニケーションとらなくてムラから追い出されないか?、と、こころの中で強いられ、心配してしまうのです。雑談を通じて、そのことを気にし、確認し、維持しようとするのです。

 

 会社、自治体、国レベルでも日本社会はこの構造を持っている。多くの日本人はこの心性を持っているのではないでしょうか。

 

 つまり、今の日本人は農村ムラ社会の心性を持ったまま、テレワークという農村ムラ社会的ではない仕事形式に突入したことから、ムラ社会の特性が強い方、敏感な方が不適応的になり、ストレスを感じているということなのでしょう。

 

 ニュースではテレワークの専門家が解消法として、「雑談や仕事の細かい進捗を報告するのがよい」と述べていました。確かに、農村ムラ社会の心性のまま解消しようとしたら、テレワーク・コミュニティも農村ムラ社会の構造にするしかありません。つまり、テレワークでも空気を読んでコミュニケーションし、無意味でもおきてを守り、一度所属した組織がおかしくても所属し続ける。オンラインやテレワークでも農村のような社会を作ることです。

 

 ・・・それでいいのかなあ?テレワークの専門家のアドバイスはそれだけではなくて、私も全面的に反対ではないのですが、雑談や報告をまめにするというのは賛成できませんでした。よけい気疲れしそう。

 私からのアドバイスとしては、「テレワークでは、もっと気楽にやろう!、相手の感情読もうとか、人目を気にしたりとか、裏になにかあるのではとかを心配するのはもうやめよう、こまめなコミュニケーションは必要ない、自分のペースを大事に、仕事の成果が出ないことだけを気にしよう。お互いにそうしていって、農村ムラ社会じゃないもっと気楽な社会やコミュニケーション方法、心性を、オンライン上に作ろう、」と言いたいのですが・・・。個人だけでは変えられないので難しいですねえ。

 

 でも、この危機で社会のあり方や社会観、文明観も変わるとも言われています。農村ムラ社会も変わるべきタイミングがきているのかもしれません。

 

 以前のブログでも書きましたが、農村ムラ社会はメリットもあります。日本人の知恵です。だから、状況の応じていろんなコミュニケーション法や心性に柔軟に変われるのが理想でしょうね。テレワークでは農村ムラ社会でなくハンター的でいい、集団で仕事したりお祭りのときは農村ムラ社会的にやる、という風に、かちゃかちゃモードチェンジできるといいなあ。